前科記事の削除請求が認められる基準と忘れられる権利

ネットニュース

刑事事件を犯して、警察に逮捕されると、「逮捕された」という報道がテレビや新聞で報じます。最近では、ネットニュースでも流れ、twitterのsnsでも拡散されます。

ただ、逮捕されたからといって全てが刑罰を受けているわけではありません。

誤認逮捕もありますし、

  • 嫌疑なし
  • 嫌疑不十分
  • 起訴猶予

で釈放されることもあります。不起訴となり、無罪となりますが、不起訴まで報じるメディアを少ないです。

また、仮に裁判所で刑が確定したとしても、時間の経過とともに、海外では忘れられる権利が認められていて、前科記事もネットから消すことが可能です。

しかし、日本国内では忘れられる権利は未だ認められていません。ですが、前科記事については事実を公表されない権利にもとづき、削除依頼が認められる可能性もあります。

認められるかどうかには、罪を犯してからの時間、更正の利益、削除の必要性に基準を設けて決められています。

罪を犯してからの時間

罪を犯してからの時間は、経過していればしているほど認められやすいです。軽微な犯罪や条例違反なら社会的な影響度も小さいので、2年ほど経過すれば認められる可能性は高いとされています。

しかし、短期間で認められるのは、あくまでも社会への影響が小さい場合のみです。裁判所によっては、事件から最低3年は必要と考えられていて、深刻な事件の場合は5年以上、10年ほどの経過時間が必要とされています。

また、公人の場合は私人よりも社会の関心も高いので、一般的な基準よりも長くなります。

更生の利益

時間とともにポイントになるのが、更正の利益です。

害者が刑や執行猶予が終了し社会復帰しているなら、更正の利益があると考えられて、前科記事の削除も認められやすくなります。なので、刑の執行や執行猶予期間が終わっていない場合は、認められない可能性が高いのです。

また、被害に遭われた方との間で示談が成立していることも、認められるかのポイントです。刑や執行猶予が終わり被害者と示談が成立していると、認められる可能性は高いでしょう。

削除の必要性

前科記事が公開され続けることによって、加害者が受ける影響も判断の基準です。記事が公開され続けても、加害者に悪影響を及ぼすことがないと裁判所が判断すれば、削除をする必要性はありません。そのため、請求をしても認められることはなく、そのままのこり続けます。逆に就職や結婚などさまざまな場面で悪影響を受ける恐れがあると判断すれば、請求は通りやすくなります。

これらの基準を総合すると、削除請求が裁判所で認められやすい条件とは、事件から一定期間が経過し刑や執行猶予も終えて加害者と示談が成立し、社会復帰をしている、または目指している場合です。

その上で、就職活動や結婚などで前科の影響を受けている場合には、裁判所は削除請求を認めて前科記事を消すように命令してくれます。日本は諸外国とは違い、忘れられる権利は現時点では認められていません。

しかし、裁判所に請求して条件を満たしていれば、前科について書かれた記事は消すことができます。