刑事事件の嘆願書の書き方や注意点について

嘆願書の種類

刑事事件において、加害者に対する処分の軽減をお願いする目的で書かれる嘆願書にはいくつかの種類があります。被害者が検察官に宛てた嘆願書が最も一般的で、これによって不起訴処分になる可能性が高く、前科が付くことを回避できるため、加害者にとって最も重要といっても過言ではありません。

加害者が起訴後や裁判中である場合、被害者から裁判所へ宛てた嘆願書を書くと、刑罰が軽くなる効果も見込めます。他にも被害者ではなく、被疑者・被告人の勤める職場の関係者(上司や社長など)から検察官・裁判所への嘆願書を提出することも良い印象を与えます。

また、刑事事件で有罪判決を受けると会社を懲戒解雇される恐れがありますが、被害者が加害者の会社へ嘆願書を送ればこれを免れるかもしれません

嘆願書を書いてもらう際は、加害者側が事前に文面を作成しておき、被害者側は署名と押印をすれば完成する状態にしておいてください。

この時に盛り込まなければいけないポイントは、

  1. 「宛先」
  2. 「事件と加害者を特定する内容」
  3. 「示談の成立に関する記述」
  4. 「寛大な処分を望む記述」
  5. 「作成日、作成者の住所、署名と押印」

の5点です。

まずは誰が何時、誰に宛てて書いた嘆願書かを明確にします。起訴前は「○○検察庁ご担当検察官殿」、起訴後ならば「○○裁判所御中」のように書き、会社宛ては「株式会社○○御中」といった書き方にします。

事件の内容については、発生日時と場所、及び簡単な概要を記載してください。また、何を嘆願するのかについては、検察官には不起訴処分、裁判所に執行猶予付き判決を求めるなど具体的に記述しても、寛大な処分といった抽象的な記述でも構いません。

その際は、

  • 「示談成立によって賠償金を受け取った」
  • 「十分に謝罪してもらった」
  • 「初犯である」

など、処分の軽減を希望する理由も書いた方が良いでしょう。ただし、被害者が考えてはいないようなことまで書いてしまうと、署名押印をしてもらえない危険性もあります。あまりにも加害者に同情的であったり、普段の人柄にまで言及するような内容は控えてください

署名押印は重要

被害者に嘆願書を書いてもらう際は、署名押印のやり方に注意する必要があります。

嘆願書はパソコンなどで作成しても問題はありませんが、署名だけは必ず本人に書いてもらうようにしてください。氏名の欄はスペースを空け、後から消えないよう必ずペンで書いてもらうようにしましょう。

押印の際は、実印にする必要性はないので認印でも構いません。ただし、大量生産で信用性の低いシャチハタ以外のものでしてもらうようにしてください。被害者に嘆願書を書いてもらうのが外出先の場合、印鑑を持ち合わせていない可能性も考えられます。

あらかじめ被害者の名字の入った印鑑をこちら側で用意しておくと安心です。また、被害者がこちらの作成した文面に不満を抱く恐れもあります。このような場合、納得できない箇所は二重線で訂正し、署名押印をしてもらうことを優先してください

嘆願書が無効になるケース

嘆願書が無効になるケースもあるので、事前に把握しておくことも大切です。まず、強迫により被害者に無理矢理嘆願書を書かせた場合、被害者はこれ取り消すことができます。被害者宅に上がり込んで署名押印を迫るなどの行為は、被害者だけでなく嘆願書を受け取る検察官や裁判所の印象も悪くします。

加えて、この取り消しは示談書についても適用されるので絶対にやめましょう。同じように、被害者をだましたり錯乱状態など、正常な判断が下せない状態で書かせた嘆願書も無効となります。いずれにしても、被害者に対しては誠実な態度で嘆願書の作成をお願いするようにしてください。

被害者が未成年の場合は、本人に加えて親権者にも嘆願書を書いてもらった方が良いでしょう。法的に有効な手続きをするためには親権者に代理してもらう必要がある未成年者は、示談書では署名などをすることはありません。

しかし、嘆願書は「お願い」する文書なので、そこまでしっかりと法的に規定された行為ではありません。物事の判断がうまくできないほど小さい子供の場合は、かえって印象が悪くなりかねませんが、未成年の嘆願書でもある程度の効果は見込めるでしょう。

以上のように刑事事件で嘆願書を書く際は、示談が成立していることが前提として必須です。基本的に被害者は加害者に対して良い印象はないので、きちんと和解がなされた証としてまずは示談書の作成をお願いし、できれば嘆願書も書いてもらうようお願いしましょう。