強制わいせつ罪の定義って?弁護士に頼むメリットとは

強制わいせつ罪の内容

強制わいせつ罪とは刑法で定められた性的な行為に関しての犯罪です。13歳以上の者に暴力をともなってわいせつな行為を働いた場合、強制わいせつ罪に該当します。なお、被害者が13歳未満だった場合には暴力の有無にかかわらず、わいせつな行為を働いた時点で罪に問われてしまいます。強制わいせつ罪が制定された理由は「個人の性的自由を守るため」です。性的行為とは本来、両者の合意があってこそ認められます。仮に合意のないまま一方的な性的行為が行われたとしたら、一方に重大な精神的苦痛を与えることになってしまいます。また、強制わいせつの定義を明確にする意図も重要です。不当な性的行為への抑止力として、強制わいせつ罪は機能しています。強制わいせつ罪で逮捕され、裁判で有罪判決を受けた者は「6年以上10年以下の懲役」に処されますが、初犯だと執行猶予がつくこともあります。

強制わいせつ罪の争点

強制わいせつ罪は「加害者に精神的な異常が見られた場合」のみ、例外が認められます。そのほかの案件で、案件成立の争点となるのは「被害者との合意の有無」です。被害者との合意があったうえでわいせつ行為に及んだのであれば、犯罪に相当しません。そのため、わいせつ行為の前後に交わされた会話、2人の関係性、
目撃証言などは裁判で重要な証拠として扱われます

また、何を持って「わいせつ」と呼ぶかも争点のひとつです。わいせつ行為の定義は人それぞれであり、たとえば「一緒に歩いていた親戚の女の子を車から守ろうとして触った」ことが、わいせつ行為に映る場合もあります。そして、強制わいせつ罪の裁判では往々にして被害者と加害者の証言が食い違いを見せます。わいせつ行為についての証言は被害者、加害者ともに主観的な部分で占められがちなので、それらをすり合わせて真実を見つけるのは法廷にとっても至難の業です。

無実でも強制わいせつ罪に問われる?

無実の人間が強制わいせつ罪に問われるケースも珍しくありません。まず、考えられるのは「被害者側からの復しゅう」です。加害者に対する何らかの恨みを晴らすため、架空の強制わいせつ罪をでっち上げる人がいます。また、「勘違い」も事例のひとつに挙げられるでしょう。

強制わいせつでは「犯人が顔を隠していた」「恐怖と羞恥で相手の顔を見られなかった」などの理由から、犯人の記憶があいまいな被害者もたくさんいます。その結果、被害者は警察が逮捕した容疑者を「真犯人」だと思い込み、裁判にまでいたってしまう可能性もありえるのです。もちろん、強制わいせつ罪で逮捕される人の多くは紛れもない「加害者本人」です。しかし、日本ではいかなる犯罪者も弁護士を呼び、正当な裁判を受けられる権利を有しています。罪状に心当たりがあってもなくても、逮捕された以上は必ず弁護士に連絡を取り、今後の対策を相談しましょう。

弁護士をつけるメリットとは

強制わいせつ罪の裁判で加害者が弁護士をつけるメリットとしては「法的知識による援護」がもっとも重要です。加害者には不足している法例、刑法などを駆使して減刑のために力を貸してくれます。また、拘留期間の加害者は精神的につらくなりがちです。特に、強制わいせつ罪は社会的なイメージが特に悪い犯罪であり、加害者は孤独な時間で「自己嫌悪」や「屈辱感」に襲われます。
弁護士は加害者の精神的ケアやメンタルヘルスを行い、心の支えになってくれるでしょう。裁判になる前の「示談交渉」でも、弁護士は役立ちます。強制わいせつ罪は被害者の尊厳を著しく踏みにじる犯罪であり、示談交渉にはまったく応じる気配がないことも珍しくありません。加害者自ら交渉の場に赴くのは、被害者の怒りをエスカレートさせるだけでしょう。そこで、代理人として弁護士に動いてもらい、冷静に被害者と話し合ってもらうことで示談の道は開けてきます。