刑事事件の弁護士費用の相場はいくらか?

弁護士費用

日本においては、刑事事件を起こしてしまった場合でも弁護人を立てるという刑事弁護という権利があり、できるだけ早い段階で弁護士を立てることが重要となります。刑事弁護を行うことによって、被疑者をサポートするほか刑の減軽を行い、ときには被害者と示談交渉を行うことによって不起訴・無罪とすることも可能です。

気になる弁護士費用

しかし、この刑事弁護を弁護士に依頼するにあたってネックとなるものが弁護士費用というものです。普段関わることのない弁護士、しかも刑事事件となると、どれほどの費用が相場であるのかわからずに、戸惑い、場合によっては相場よりも高額な弁護士費用をとられる事態になってしまいます。あらかじめ弁護士費用の相場を知るとともに、どのような弁護士に依頼すべきなのかという知識を身に着けておくと安心です。

刑事事件の弁護士費用相場

刑事事件の場合は民事訴訟の場合とは異なり、相手からいくら慰謝料などを請求されるかという請求がありません。そのため、それらの請求額から弁護士費用を計算することができず、民事訴訟に比べて刑事事件の弁護士費用の計算は複雑になってしまいます。しかし、おおよその場合で言うことができることは、民事訴訟よりも刑事事件の弁護士費用の相場の方が高いということができます。いくらという具体的な金額は、どのような刑事事件の刑事弁護を依頼するのか、またどのような弁護士事務所に依頼するのかによってそれぞれ異なります。

一般的な相場としては、着手金で30から50万円、そして報酬金で30から50万円ほどかかることになり、合計で60から100万円ほどかかることがほとんどです。ただし、これらに接見回数や拘留阻止などの報酬加算が加わる場合もあれば、示談が成立すれば別途示談金がかかるうえに、自白事件でなければさらに費用がかかることになります。

着手金

弁護士費用の一つである着手金の相場は、30から50万円ほどです。着手金とは、弁護士への依頼費用ということであり、事件の結果が望むものになろうがなるまいが支払わなければなりません。この相場額は、弁護士費用が自由化される前の金額が基準となっていますが、費用は各弁護士が自由に決めることができるのでより高額な費用を請求される場合もあります。

また、身柄を拘束されていない場合や犯行を認めている場合(自白事件)、被害者がいない場合などは、費用が安くなる可能性があり、逆に否認し、被害者が複数いる場合は増額する可能性が高いです。犯行を素直に認めている場合、反省が見られるとされて不起訴となることが多いため、費用が安くなります。

注意事項としては、この着手金は一度支払うと、たとえキャンセルしたとしても戻ってくることはありません。そのため、着手金を支払う前に納得できる弁護士を見つけ出すことが重要です。

報酬金

報酬金とは、不起訴となったり刑が軽くなったり、あるいは執行猶予が付いたりと、弁護士へ依頼したことにより結果が良くなった場合に支払う費用です。この相場も、費用が自由化される前の金額が基準となっています。報酬金は着手金とは異なり、必ず支払うものではなく、起訴前に依頼して起訴されてしまった、求刑通りの刑罰となってしまったならば発生しないこともあります。そして、報酬金は不起訴や示談、減刑など項目により金額が変わります。そのため、依頼前にあらかじめ報酬金がどのようなケースでいくらかかるものなのかを弁護士に聞いておくことが重要です。

相談料・交通費・実費・日当・接見費用

この他にも、弁護士費用で掛かるものには複数あり、弁護士に相談する際にかかる相談料が1時間1万円ほどかかることもあれば、交通費やコピー代などの実費、弁護活動の日当・タイムチャージが1時間1万円と設定していることもあります。また、逮捕・拘留されている容疑者と接見するには制限があり、その接見費用も掛かります。

弁護士費用は自由化

弁護士費用には相場というものがありますが、基本的に弁護士が自由に決めて良いことになっています。そのため、どの弁護士に依頼するかによって費用に大きな差ができてしまいます。さらには、弁護士にも扱う事件に得手不得手というものがあり、高い費用を支払ったにもかかわらず納得できる結果にならなかったということも少なくないです。相場が分からず依頼してしまうと損をすることにもなるので、相場をあらかじめ知り、料金形態はどのようになっているのかをしっかりと確認し、さらには弁護士を見極めてから依頼することが重要です。

弁護士費用には相場がありますが、損をしないためにはいくつかのコツがあります。刑事弁護を依頼する場合は、身内あるいは自分自身のことで正常な判断ができないこともあるので、まず冷静になることが第一となります。そのうえで、事件の内容と現在どのような状況となっており、どのような結果を希望するのかを明確にしておくことです。

無駄な相談費用をとられず、調べることもはっきりしていれば不明確な料金の請求も少なくなります。これらのことを意識した上で弁護士へ依頼するものですが、どうしても弁護士費用が高額であり支払うことができないとなった場合は、条件はありますが国選弁護人へ依頼することになります。