
刑事事件を弁護士に依頼することで、逮捕・勾留中でも面会を通して加害者の弁護に取り組んでもらえる上、加害者の持つ権利をきちんと代弁してもらえるというメリットがあります。特に刑事事件に強い弁護士であれば、逮捕されている場合でも不起訴や釈放、保釈となる可能性が上がります。さらに、裁判においては無罪や執行猶予の獲得を可能とするだけでなく、被害者との示談もまとめてもらえます。
では、このように刑事事件で心強い味方となってくれるような弁護士を、どのように探し出せばよいのでしょうか。今回は、具体的な探し方と、刑事事件に強い弁護士や法律事務所を見分けるポイントについて紹介するのでチェックしてみてください。
私選弁護人と国選弁護人との違い
始めに、刑事事件を担当する弁護士には、「私選弁護人」と「国選弁護人」がいることを知っておきましょう。
前者は、被疑者または被告人本人か、その家族などから委任された弁護士です。選任者は弁護士を自由に選ぶことができますが、費用は選ばれた弁護士によって異なり、比較的高額です。後者は、経済的な理由で弁護士を選任できない場合に、裁判所から割り当ててもらえる弁護士です。費用はあまりかからない代わりに、国際弁護人として登録された弁護士の中からランダムに選ばれるので、加害者側には選択する自由はありません。
加えて、被疑者の段階から弁護を受けるためには、特定の罪を犯していて身柄を拘束された状態である必要があるので、全ての加害者が逮捕や起訴の前から弁護を受けられるわけではないのです。
情状弁護や示談交渉などでスピーディな対応が求められることの多い刑事事件では、私選弁護人に依頼して早くから準備を進めることがかなり重要となります。そのため、これから紹介するのも、私選弁護人の探し方や見極めのポイントに関する内容となります。
刑事事件弁護士の探し方
実際に、逮捕前の本人、または配偶者や直系の親族などが弁護士を探す際には、大きく分けて3種類の方法を利用できます。
友人や知人を介して探す
まず、友人や知人を介して探す方法が挙げられます。この方法で気を付けなければいけないのは、紹介された弁護士の中には、刑事事件の担当経験が少ない、もしくは全くない弁護士がいる可能性もあるということです。このような時は、その紹介してもらった弁護士の方から、刑事事件に強い弁護士を改めて紹介してもらえば、より充実したサポートを受けられる確率が上がるはずです。
弁護士経由で探す
2つ目は、弁護士会を経由して探す方法です。この方法では、「私選弁護人選任申出制度」と「当番弁護士制度」を利用することができます。前者は、被疑者または被告人が、弁護士会に対して弁護人の選任を申し出ることのできるシステムです。後者の制度では、逮捕または勾留された状態の時に、弁護士からのアドバイスを受けることができます。依頼者の暮らす地域ごとに担当している弁護士会が異なるので、これらの制度を利用する際は最寄りの弁護士会へ問い合わせてみてください。
インターネット検索で探す
3つ目の方法は、インターネットを介して探すものです。「弁護士ドットコム」のような、弁護士に関連する情報を多く提供しているポータルサイトか、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して探してみてください。その際には、「弁護士刑事事件」といったワードに、お住まいの地域名などを加えてみると良いでしょう。
上記のような方法で、弁護士や法律事務所が見つかれば、次に必要となるのは刑事事件に強いかどうかの見極めです。この際に、以下のようなポイントに注意して判断すれば、失敗する危険性を抑えることができるはずです。
不起訴件数がポイント
まず前科を付けないために重要なのが、裁判になる前の段階で不起訴となることです。そのために重視すべきポイントは、不起訴率と不起訴件数の高さと多さになります。不起訴率がホームページに掲載されているような法律事務所は多くありませんが、不起訴件数であれば確認できるところも少なくありません。いくつかのサイトを比較して、不起訴率が高い・不起訴件数が多い事務所が相対的に刑事事件に強いといえるでしょう。
元検察官がいる弁護士事務所
加えて、元検察官(ヤメ検)の弁護士が所属しているかも要チェックです。被疑者を起訴するかどうか判断する検察官の知識や経験が、不起訴の獲得に大いに役立つはずです。加えて、刑事事件の解決実績もしっかりと確かめておいてください。解決した実績数が多い方が刑事事件に強い可能性が高いでしょう。
相談件数がポイント
また、刑事事件の相談実績も参考にする価値があります。必ずしも当てはまるわけではありませんが、相談件数が多い方が刑事事件に対する経験や知識に富んでいると考えられます。また前述にもありますが、刑事事件は時間との勝負になります。よりスピーディに対応してもらうには、所属する弁護士数がより多い事務所を選ぶようにすると良いでしょう。同様に、土日や休日でも対応してもらえる事務所であれば、問題の解決に空白期間ができることも少なくなるはずです。
これらの情報の多くは、法律事務所のホームページからでも確認できるので、事前にしっかりと比較・検討しておきましょう。